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2006年9月22日 (金)

信州の紅葉前線と紅葉樹

 北から南へ、山の頂きから里へと降りてくる紅葉前線は、春の桜前線とはまったく逆である。すでに、信州の高原や渓谷では一部紅葉が始まっている。

この紅葉になる気象条件は、朝方の気温が8度から9度以下に下がる日が幾日か現れると、紅葉が始まると言われている。また、その年の気象特性によって、紅葉の始まるのが早いか遅いか、美しい紅葉であるかどうかが決まる。

紅葉の美しさの第1条件は秋の高気圧におおわれるような秋晴れが多いこと。即ち、日照をよく受けて朝晩の気温が下がりやすいことである。例えば、渓谷のような地形で昼と夜の気温差が大きい条件のが最も美しい紅葉見られる。しかし、紅葉が最も嫌うのは強い台風と秋の長雨の続くような年で、特に葉がいたんだり、同化作用がストップしたりで、鮮やかさがなくなる。

さて、信州の紅葉の名所の例年の見ごろと代表的な広葉樹は次のとおり。

信州の紅葉の名所見頃代表的な広葉樹
野尻湖 10月中旬 山モミジ、唐松、野尻ボダイジュ
戸隠高原 10月中旬 ブナ、カエデ、白樺、唐松
志賀高原 10月上旬 ダケカンバ、ナナカマド
奥裾花渓谷 10月下旬 ブナ、カエデ、ミズナラ
軽井沢高原 10月中旬 唐松、シラカバ、カエデ
上高地 10月上旬から中旬 ナナカマド、唐松、カエデ
中央アルプス駒ケ岳 9月下旬から10月初め ナナカマド、ダケカンバ
天竜峡 10月末 モミジ、カエデ

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2006年9月18日 (月)

朝霧は晴天・夕霧は雨(10月のことわざ)

 秋が深まりを感じる10月の信州は夜霧、朝霧、夕霧が目立つ季節になる。霧に覆われた朝は林や家並みが、いかにも幻想的でロマンチックなものである。霧は歳時記で秋の季語である。霧の発生頻度を見ると高原地帯は夏に多くなっているが、信州の平野部や盆地ではこの10月から11月にかけて年のほぼ半分が2ヶ月間に発生して、まさに霧の代表的な季節である。

 さて、霧についてのことわざはどの地方にも一つや二つはある。信州全般に「朝霧は晴天」「夕霧は雨」と言われている。朝霧とは放射霧であり、この原因は秋の移動性高気圧に覆われた夜から朝方ににかけて、穏やかな晴天となるため放射冷却で気温が下がり大地が熱を大気に放射する時霧が発生する、これが朝霧や夜霧と言われる。また、信州には大きな河川が多くあるので、川に沿っても霧が発生しやすく、これを川霧と言っている。気温に比べて川の水温が高いので、川からの水蒸気が湯気のように白く見える。千曲川沿いの地方には霧のことわざが多い。

「朝霧が川の上に立ち上れば晴れ」(信州千曲市)

「朝霧が川を覆って瀬音が静かになれば晴れ」(信州飯山市)

「朝霧は鞍を置いて待て」(須坂市)

「川霧の早く来る年は雪が早い」(信州中野市)

 この朝霧・川霧は太陽が昇れば消え、日中は気温が暖かい良い天気になる。霧に包まれるの1時間から2時間であり、長くても約3時間程度である.。川霧について注意して見ていると気象学的におもしろい。

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うろこ雲は雨のきざし(9月のことわざ)

夏の間、高いところに浮かんでいる雲は水蒸気の影響で見えなかったが、9月となれば移動性高気圧の運んでくる乾いた空気が流れ込んでくる。このため、上空6000m以上に浮かぶ雲の種類や動向がはっきり観察できるので、天気を予知するには最も適中率が高い。

 さて、雲は無数の水蒸気や氷の粒から出来ており、二度と同じ形のものはなく、次ぎから次ぎへと発生しては消滅している。でも、よく観察すると似たものは一定の高さに表れており、天気の状態をよく表している。例えば、低気圧が接近する場合に、一番先に現れてくる雲は絹雲(別名すじ雲、絹糸のような白い細い雲)で、ほぼ同じような形で現れる。であるから・・・「あの雲が現れると天気は下り坂に向かい雨が近い・・・・。」と経験から天気を予知することができる。ところで、秋空は雲の行き交う美しさは格別で、その雲のことわざが、特に、3000m以上上空にでる秋の雲の信州のことわざを集めてみた。

「すじ雲が出れば3日先が雨。うろこ雲が出れば天気は悪くなる」(信州中野・下高井)

「うろこ雲が出れば雨のきざし」(信州上田・小県)

「こけら雲が出れば天気が変わる」(信州大町)

「ひつじ雲が出ると天気は変わる」(信州北安曇)

うろこ雲・こけら雲は絹雲の俗称であり、魚のうろこの模様に似ている白色の小さな団塊状の美しい雲。しつじ雲は高積雲の俗称で白または灰色の丸みをおびた団塊状でひつじの群れのように見える。低気圧が接近すると必ずその顔ぶれの雲が現れるので、注意して見ているとことわざどおりの天気になることが多い。

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2006年9月17日 (日)

女心と秋の空

「天高く馬肥ゆる」秋は、春と同じく年のうちでも,快適に過ごせる気候である。しかし、暖候期から寒候期への変わり目であるため、梅雨と同じく雨季と呼ばれる「秋の長雨」があり、また、台風も来襲するアクシデントにより、梅雨に次ぎ雨の多い季節であり複雑な天気を示す。

9月になると夏の間日本列島を覆っていた太平洋高気圧が衰え、代わって乾いた空気を持つ移動性高気圧に覆われる頻度が多くなる。このため、南風も弱まわって、信州など海抜の高いところは朝晩はめっきり涼しくなり、木や野菜には露が目立つ。それでも9月中旬頃までは時には太平洋高気圧が盛り返し、日中は30度を越す残暑に喘ぐこともある。こんな季節は朝型の冷気で寝冷えを起こし風邪をひく人が多いから注意が必要。

 さて、秋の最も注意すべきは台風である。
台風は熱帯地方に発生する低気圧であり、年間27個くらいが発生し、日本に来襲するのは3から4個が平均とされ、9月が多くなっている。昔から立春から数えて210日目に当たる9月1日、あるいは220日目の9月10日は台風が来襲する頻度が多と恐れられているが、統計上では9月中旬頃が一番来る傾向である。9月下旬に来襲する台風は規模が大きく非常に強いのが多く、大きな被害をもたらすので警戒を要す。例えば、昭和33年9月26日の狩野川台風、また翌年の史上最大の死者約5000人を出した伊勢湾台風がある。大きな災害を起こす台風は210日よりも9月16日から26日頃で、年によっては多少ずれるが、農家にとっては収穫期であり、一応の目安として注意が必要である。

9月も中旬を過ぎると太平洋高気圧の勢力の後退で、つゆ明けの時に日本の北に北上していた前線は再び日本の南岸まで下がってくる。このため9月中旬から10月中旬の約1ヶ月は秋の長雨の時期である。以前は秋霖(しゅうりん)と言っていたが、現在は当用漢字の制限もあり「秋の長雨」に統一されてきた。関東地方は秋雨前線の影響と台風などによる湿った空気が流れこみ、つゆ期よりも雨量が多くなっている。この秋はつゆ期と共に水害の多い時期である。今年は9月上旬の「秋の長雨」も顕著に現れ、9月17日は台風13号(940hpa)非常に大きな台風が九州に接近している。

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