気象神社物語(8-1)
気象にまつわる神社(その1)
日本では、おそらく唯一“お天気の神様”をお祀りする神社は「気象神社」であり、将来の気象の安定と気象技術者が天気予報をよく当たるように祈願する神様です。
気象神社は戦時中、東京都杉並区旧馬橋四丁目にあり陸軍気象部内で祀られたもので、当時の気象隊は大変ご苦労であったと思われます。現在のように電算機・通信技術の発達や静止気象衛星がなかった時代であり、天気を予測するにも戦争中は敵地の天気状況が把握できなく、予測確率は現在よりかなり低かったと思います。
気象隊は飛行機の離発着や敵地までの高層風を予測しなければならず、それを当てなければ、戦争に影響が出ることもあります。戦争時は悪天でも飛行機・軍艦・戦車を動かすので、気象予測は陸上進攻作戦には大きな影響を与える要素でもあり、予測が外れて戦死する兵隊さんやパイロットもいたと思われます。
「気象神社」はそんな思いもあり、陸軍気象部は気象神社の前で予報が当たることを神に祈っていたことでしょう。
さて、気象を祀る神社は他にもありご紹介します。
「綾部八幡神社」
佐賀県中原(なかばる)町は佐賀県東部に位置する人口約9000人の町。
中原町に、800年の歴史を持つ綾部八幡神社があります。風神が祀られ、毎年7月15日には、1年間の風の影響を占う神事が行われるほど「風の町」として有名です。風の変化が多い地域として気象学的にも「風の道」として位置付けられており、毎年7月15日に行われる「綾部八幡神社」の「旗上げ神事」は、日本最古の天気予報として有名な神事があります。楼門にある額にも「日本最古の気象台」の文字があります。
同神社にある樹齢700年のイチョウの幹に、竹の先に結びつけた小旗を7月15日に固定し、9月24日の「旗降し神事」で小旗が降ろされるまでの間、50 メートル の高さで、風に揺れ動く小旗を観察します。旗のなびき具合やその形で1年の天気予報を占い、「この天気予報が当たるんですよ。だから地元民に頼られ神事が800年も続いているのではないでしょうか」と、同神社宮司の吉戒雅臣さん(62)は話されています。
「風の町」と呼ばれるのは綾部八幡神社が「日本最古の気象台」と呼ばれるほど、天気予報を的中させることに由来しています。風になびく小旗の揺れ具合を毎日観察して占い、気象台の予想より当たった例も多いと言います。
1993年、福岡管区気象台の8月の予報は「晴れて暑い日が多い」。同神社は「雨が多く晴れは少ない」と予想。これが的中し、雨による災害が多発しました。同町が筑紫山系の峡谷に位置し、風が有明海から玄海灘に抜ける「風の通り道」にあることも関係していおり、風占いの天気予報と気象変化の因果関係は、佐賀大学の調査でも裏付けられているとか。
なお、中原町には風をテーマにした「風の館」では、天気コーナーなどがあり、天気の変化を知ることができる。風をモチーフにした町のイメージキャラクター「ナーミー」は、町役場の名刺印刷をはじめ、道路に描かれるなど、町は風一色です。 (日刊スポーツ九州参照)
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