2007年1月20日 (土)

大雪の兆しは豊作(冬のことわざ)

「大雪は豊年の兆」(信州善光寺平、佐久地方)

「大雪降れば豊作」(信州松本平)

「冬雪多い年は豊年」(信州飯田・下伊那地方)

雪の多い年は雪の保温作用で、地温を高めたり、土中の凍結深をゆるめ効果で、豊作に結びつくと言われ、昔から農家の間で残っていることわざである。

特に内陸性気候や太平洋側気候に属する、季節風による降雪量の少ない地方に多く残っている。これとは逆に新潟県と長野県の境の豪雪地帯の日本海側気候の地方では

「寒の雨は豊作」「寒雨豊作」(白馬・北安曇地方、中野・下高井地方)

と寒中に雨が降るような暖冬の年は、雪害も少なく、苗代が早めに用意できるので、豊作といわれている。冬の降雪量の多少や寒のうちの寒さや天候で、夏の天候を予想して、秋の米や野菜の収穫を判断する方法が農家の間で言い継がれている。これらは理屈だけでなく、気候の周期変化も考えに入っているので相関が高いと評価されている。

過去の大雪周期は、短い周期は6―7年、やや長いものに11―12年周期がある。豊作と大雪と比較してみるとおもしろい。気象台や測候所のない頃のことわざとして気候と豊作を予測する唯一の指針であった。昨シーズンは記録的な日本海側の大雪の年で、米の作況指数は全国的に不作であり、ことわざがどうりであった。今年は日本海側では雪が少なく、暖冬の年であるので豊作となるか?

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2007年1月 6日 (土)

蛙の冬眠、カマキリの巣(冬のことわざ)

北アルプスにある山小屋の老主人は朝起きると決まって、空を仰ぎ雲の流れや種類を見、鳥の鳴き声や移動によって、その日の天気を予想すると言う。このように、自然の動植物の一連の動向は天気や季節の進み具合を黙って教えてくれる貴重な教科書である。

気象変化の激しい信州には気象に関する多くのことわざが、高い山や雪深い奥信濃を中心に数多く残されている。今冬はエルニーニョ現象により暖冬でスキー場の雪不足、デパートの暖房用品は売れず、水力発電にも影響を及ぼす。

特に、顕著であった年は昭和47年と48年の2年続きの暖冬。この年からスキー場には人工雪マシンが多く設置されるようになったと記憶している。冬は冬らしく、寒く雪の降る地方は雪がないと不安を覚える。

そこで、この冬の長期予報を生きた天気のことわざの中から一つ。

豪雪地帯の飯山地方の国鉄季節除雪作業員は蛙の冬眠とカマキリの巣を作る位置によって、その冬の寒さと雪の量を予測し、雪害対策の準備をするが、気象台発表の長期予報より当たると言う。

「冬眠する蛙が浅いところにいれば暖冬、深いところにいれば寒冬」

意味:雪の量が多い冬はカマキリの巣が高いところに作り、少ない時は低いところに作る言われます。今冬は蛙は浅いところに、カマキリは低いところに巣を作っているだろうか?

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2006年11月19日 (日)

障子の破れがうなると雪(11月のことわざ)

 信州の雪の訪れは北アルプスの峰から始まり、しだいに里に降りてくる。信州の平野部の初雪は11月中旬頃からであり、12月に入ると南部地方を残して初雪の舞いも終わるが、年によってかなりの違いもある。その年のクセをつかむのに、その土地のシンボルである高い山や高原に何回も雪が降れば、次は里にも雪がくると言うことを長い統計から生み出したことわざとして、東北信を中心に多くある。

「浅間山に三度雪がくると里にも雪がくる」(佐久・小県)

「高社へ三度雪が降ると村にも雪が来る」(中野・下高井)

 その土地で言われる山は須坂地方では八丁山、上田小県地方では烏帽子岳、南小谷では岩戸山である。ただ、北アルプスのような3000級の高山では当然降る回数が違うので

「西山(北アルプス)に七度で大町は初雪」(大町・北安曇)

 さて、12月も中旬になると冬型の天気が多く、その天気分布は北部方は雪、南部地方はカラカラ天気と全く逆で雪の降り方や原因も違う。ところで、信州の北部地方(長野から大町市を結ぶ線より北の地方)に降る雪は、強い北よりの季節風とともにやってくる。その時は大陸の冷たい高気圧がいつもより著しく発達しており、それだけ寒気が日本付近に流入していることになり、雪の降る量が多くなる。雪と風を結びつけたことわざも多くある。

「戸が鳴ると雪」(須坂・松本)

「障子の破れがうなると雪」(中野・下高井)

「寒夜、山が鳴動するのは雪」(上田・小県)

「冬の北風は雪」(上田・小県)

 気象学的に説明できる観天望気は細かい観察と長い経験からあみだしたものが多く、天気予報と組み合わせて利用すれば非常に参考になる。

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2006年10月24日 (火)

霜が降りれば良い天気(11月のことわざ)

 晩秋の寒い朝は、うっすらと白く化粧した家の屋根や畑そして植物などが、朝陽にキラキラ光っている光景を良く見かける。初霜は季節の進み具合を示し、また、厳寒の期に入れば、浴室や台所の窓に美しい花模様の霜花が描かれる。山間部の農道や山道にはザックリした霜柱ができて、私達の目を楽しませてくれる季節に入る。さて、霜の季節が長い信州は霜のことわざが数多くあり、少し言葉は違っても殆ど同じ内容である。一般に良く知られるものに、

「霜が降りれば良い天気」

「早朝、霜のないときは雨がある」

・・・霜は、物体の表面温度が0度ぐらいになって,水蒸気や水滴が氷の結晶となりできるものである。だから、夜間が冷えこんだ時、いわゆる日本付近が高気圧下にあって、晴れた日は、霜の現象がおきるのである。

「大霜の三日後は天気が変わる」

「霜折れは曇か雨」 
大霜のあとは天気が急に崩れ、曇か雨になる

 これらは現象と周期性を組合せて考えたものである。晩秋の晴れをもたらす高気圧の周期は3日から4日と言われているので、気象学的にも説明ができる。自然現象から結びつけたことわざは最も適中率が高いことわざである。

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2006年9月18日 (月)

朝霧は晴天・夕霧は雨(10月のことわざ)

 秋が深まりを感じる10月の信州は夜霧、朝霧、夕霧が目立つ季節になる。霧に覆われた朝は林や家並みが、いかにも幻想的でロマンチックなものである。霧は歳時記で秋の季語である。霧の発生頻度を見ると高原地帯は夏に多くなっているが、信州の平野部や盆地ではこの10月から11月にかけて年のほぼ半分が2ヶ月間に発生して、まさに霧の代表的な季節である。

 さて、霧についてのことわざはどの地方にも一つや二つはある。信州全般に「朝霧は晴天」「夕霧は雨」と言われている。朝霧とは放射霧であり、この原因は秋の移動性高気圧に覆われた夜から朝方ににかけて、穏やかな晴天となるため放射冷却で気温が下がり大地が熱を大気に放射する時霧が発生する、これが朝霧や夜霧と言われる。また、信州には大きな河川が多くあるので、川に沿っても霧が発生しやすく、これを川霧と言っている。気温に比べて川の水温が高いので、川からの水蒸気が湯気のように白く見える。千曲川沿いの地方には霧のことわざが多い。

「朝霧が川の上に立ち上れば晴れ」(信州千曲市)

「朝霧が川を覆って瀬音が静かになれば晴れ」(信州飯山市)

「朝霧は鞍を置いて待て」(須坂市)

「川霧の早く来る年は雪が早い」(信州中野市)

 この朝霧・川霧は太陽が昇れば消え、日中は気温が暖かい良い天気になる。霧に包まれるの1時間から2時間であり、長くても約3時間程度である.。川霧について注意して見ていると気象学的におもしろい。

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うろこ雲は雨のきざし(9月のことわざ)

夏の間、高いところに浮かんでいる雲は水蒸気の影響で見えなかったが、9月となれば移動性高気圧の運んでくる乾いた空気が流れ込んでくる。このため、上空6000m以上に浮かぶ雲の種類や動向がはっきり観察できるので、天気を予知するには最も適中率が高い。

 さて、雲は無数の水蒸気や氷の粒から出来ており、二度と同じ形のものはなく、次ぎから次ぎへと発生しては消滅している。でも、よく観察すると似たものは一定の高さに表れており、天気の状態をよく表している。例えば、低気圧が接近する場合に、一番先に現れてくる雲は絹雲(別名すじ雲、絹糸のような白い細い雲)で、ほぼ同じような形で現れる。であるから・・・「あの雲が現れると天気は下り坂に向かい雨が近い・・・・。」と経験から天気を予知することができる。ところで、秋空は雲の行き交う美しさは格別で、その雲のことわざが、特に、3000m以上上空にでる秋の雲の信州のことわざを集めてみた。

「すじ雲が出れば3日先が雨。うろこ雲が出れば天気は悪くなる」(信州中野・下高井)

「うろこ雲が出れば雨のきざし」(信州上田・小県)

「こけら雲が出れば天気が変わる」(信州大町)

「ひつじ雲が出ると天気は変わる」(信州北安曇)

うろこ雲・こけら雲は絹雲の俗称であり、魚のうろこの模様に似ている白色の小さな団塊状の美しい雲。しつじ雲は高積雲の俗称で白または灰色の丸みをおびた団塊状でひつじの群れのように見える。低気圧が接近すると必ずその顔ぶれの雲が現れるので、注意して見ているとことわざどおりの天気になることが多い。

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2006年8月22日 (火)

夕立は馬の背を分ける(夏のことわざ)

昔から雷によって梅雨明けを知らされ、「雷が鳴ると梅雨が明ける」と言われているとおり、夏の気象の話題は雷に代表される。

信州は梅雨が明けると、毎日の最高気温が連日30度を越す酷暑となる。午後は決まって夏空を飾る入道雲(積乱雲)を知らない人はない。この入道雲は夕方になると雷鳴と共に激しい雨を降らせ、暑さを吹き飛ばす自然クーラーの役目をする。

日照りに悩む農家にとっては千金の雨である(今年の上田盆地は7月30日の梅雨明けから8月22日まで雨なしの砂漠状態)。この雲の中では電光が飛び交え,雷鳴がとどろきわたり、雷雨や突風のおまけまでつき、夏空いっぱいに暴れまくる。ただ、この現象はごく小規模内で起り、「夕立は馬の背を分ける」と言われるとおり、雨の降るのは積乱雲の下だけで、たった30-40kmの区域で、短時間で終わってしまうことが通例である。この雷は発生地から東に移動することが多い。また、谷筋や川沿いに沿って動きやすい言われており、その地方特有の雷の道がある。

信州のことわざを例にとると

「浅間の夕立は音ばかり」(佐久平)
浅間に発生した雷雲は群馬方面に移動し,佐久には来ない

「鳥川入口からの夕立は必ず来る」(松本市)
常念岳に発生した雷雲は川に沿って松本平まで東進する

「八幡隅みの雨と隣りのぼた餅はきっと来る」(善光寺平)
長野の雷雲は信州新町方面から来るものが多い

「別所の雷と隣りのぼた餅はきっと来る」(上田市)
上田市の西から来る雷は上田市に来ることが多い

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2006年7月 9日 (日)

山の天気は変わりやすい(山のことわざ)

今年の夏山は、60才前後の登山者が一段と増加が予想される。
その反面、遭難事故も比例して増える傾向で、その殆どが山の気象に関係すると言われている。山の天気は平地の天気より先に悪くなり、早めに気温が上下したりしたりするので「山の天気は急変すると」恐れられている。
それぞれの山岳には経験から出た天気のことわざがたくさんあるので、登山者は覚えておけば大変便利である。

「剣岳につるし雲が出ると2-3時間後に雨となる」(北ア白馬岳)
 つるし雲や黒い笠雲は典型的な寒冷前線が雲提の出現でこれらの雲が見えたら山小屋に避難すること。

「焼岳の硫黄の臭いがすれば雨となる」(常念岳・蝶ケ岳)
焼ケ岳は西穂高岳や蝶ケ岳の南側に位置する活火山で、特有な臭いがする。即ち、悪天をもたらす低気圧や前線が接近しつつある時は、風向が南風となり、風速が強めになってきたことを示す。

ところで、梅雨明けと山岳も年のうちで最も安定した登山日より続き、よく「梅雨明け10日」と言って山の好天を言ったりする。私の北ア白馬岳に滞在した経験ですと早い年は二日目、遅い年でも5日目の午後になると夕立や雷雨の日が多くなる。より安全で、快適な登山をするには経験やことわざ・天気予報の知識をフルに使って、自分で天気を予想し短い夏山を満喫して頂きたい。

特に、最近は高齢者の登山者が多く成っており、雨・霧や強風により肉体の疲労による遭難者が目立ってきた。必ず、登山する時は山岳天気予報や現在の花や雪渓様子などを把握しておくことが遭難しない秘訣。

参考になるサイトは、日本気象協会の登山ハイキング天気が便利。
主要な山岳の気象データ、登山ハイキング豆知識など、初心者から上級者まで幅広く使えます。

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2006年6月11日 (日)

山腹に横雲引くのは雨(6月のことわざ)

六月は「梅雨」と呼ばれる雨季。

この時期は農家では農作物の手入れに一番多忙の時期あるため、常に空を仰ぎながら仕事をしなければならない。こんな時、観天望気の中でも最も科学的で合理的な適中率の良いものがある。「気象学は雲に始り雲で終わる」と言われるが、雲を観察することは天気を予知する基本である。
だから、その土地や地方の山にかかる雲や霧によって、天気を判断することわざを参考にすると良い。

「山腹に横雲引のは雨」
「有明山が帯(ハチマキ)を結べば雨」長野県南安曇地方)
「O山(岳)に雲や霧がかかれば雨」「OO山に笠雲がかかれば雨」
などのことわざが多い。

さて、一般に低気圧や前線が接近し天気が下り坂に向う時は、大きく分けて「絹雲-絹層雲-高層雲-乱層雲}と言う過程で雲が変化する場合が普通である。

悪天気をもたらす主役は雨雲と呼ばれる乱層雲であり、その前に発生するものに高層雲があり、続いて雨の前ぶれ雲と言われるうね雲の別名を持つ層積雲や霧雲と呼ばれる層雲が発生する。ことわざの中で、山腹に出る雲は横雲や横霧と言われる層積雲であったり、層雲の悪天の前出る雲のことである。

ただ、同じ種類の雲でも天気が良い場合出る雲もあるので注意を。

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2006年4月26日 (水)

風吹けば目医者が儲かる(春のことわざ)

春の気象病に注意を

春といえば、長い冬から開放され、人間にとって一番快適な季節であるが、季節の変わり目であるので、天気変化が激しく、人体にも大きな影響を与えて、俗に言う気象病(気象変化によって誘発される病気)が起こり易いと言われている。

春は「風が吹けば桶屋が儲かる」と古い言葉があるが、
実は風が吹けば目医者や製薬会社・薬局がもうかるのである。春は風が強いので砂ほこりや中国大陸からくる黄沙が降る日もあり、更に、スギ花粉・ヒノキ花粉が舞い上がり、それがのどや鼻の粘膜について、一種の炎症を起こし、ひどくなると湿疹や発熱を起こす人もいます。また、春は低気圧や前線の通過する日が多いので、生活のリズムが狂ったりし、老人や体の弱い人は、下痢や顔面神経マヒが起こりやすい人が私の近くにいます。春の気象病は今が一番注意が必要な時期です。

 所沢のトトロの森では「穀雨」を向かえた頃からハナミズキ・フジ・ライラックの花が咲きはじめ、今日(4月26日)は満開です。花咲き鳥歌う新緑の狭山湖畔は最高のハイキングコースです。狭山湖の鳥たちは冬鳥から夏鳥に変わり、数多くのうぐいす・ヒバリなどが鳴いています。

 春の気候は移り変わりが激しく、今日は晴れて暖かい良い天気でも、明日は天気が崩れて冷たい雨で、冬を思わせる寒さに戸惑ったりすることもしばしです。

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