携帯電話による防災情報の活用
防災時の携帯電話の役割
国民の生命、財産を守る気象警報、地震情報、津波情報等の周知は災害を未然に防止したり軽減したりするための重要な役割を果たします。
平成15年7月19日から20日にかけての九州地方の大雨では国や地方自治体の防災担当者などに気象警報・注意報などの緊急防災情報を発表後ただちにお客様の携帯電話端末にメールで提供しました。
また、お客様に最も近いアメダス観測データが基準値を超えた場合や雨量予測で基準値を超える場合はメールで通知しまた。更に、同時に現在の気象レーダー・衛星画像や降 水予測図の実況画像が連続的に見ることができます。
日本気象協会はNTTドコモ(株)(以下NTTドコモ)のネットワークを用いて携帯電話の新たなメディアによる情報提供に積極的に取り組み、常に最適な方法により、防災活動に必要な情報の提供を行い、災害時の初動体制の早期化に取り組んでいます。
災害時の職員初動体制に必要な防災気象情報の内容
災害時に必要な緊急防災通知メールの内容はつぎのとおりです。
- 気象台が発表する警報・注意報・地震情報・津波情報・火山情報
- 指定する地域のアメダス観測データ(実況値や積算値など)が基準値に達した時
- お客様が保有する観測データ値
- 当協会が予測するポイント予測値
注意報・警報などは携帯端末1台ごとに、種類(大雨や地震など)や地域(例えば福岡県福岡市)の指定ができます。このような情報は、自治体や各企業の防災担当がどこにいても(出張先や自宅等)周知ができます。
このサービスの一斉同報の機能を活用することで災害時の職員初動体制の早期化、災害後の市民生活への防災広報へも利用できます。
大雨や地震などの情報は、日本気象協会のマイコス(MICOS:Meteorological Information Comprehensive Online Service―気象情報オンライン提供サービスの略称)にリアルタイムで入力され、それらのデータは防災気象情報用に編集・処理され、携帯電話ネットワークを介し携帯電話のお客様へ通知されます。
表示例として、図2に示します。
この防災気象情報では、通知した結果が相手に届いたかどうかを管理者の方が把握するための送信確認システムも用意されています。この防災情報は、個人の番号によって情報内容設定が可能となっており、当然グループ内での周知ツールとしての役割も果たすことができます。
防災情報強化のとりくみ
甚大な被害をもたらした阪神淡路大震災では、情報通信インフラが寸断する中で、無線系の情報機器である携帯電話が情報伝達に威力を発揮しました。
携帯電話を用いた防災気象情報の活用例として、福岡市における実例を挙げます。
福岡市では、各種の情報通信システムを整備・拡充することで、災害発生時の対応強化を実施しています。
過去に、河川の氾濫などでビル地下の従業員が亡くなるなど重大な浸水被害を受けた福岡市はこれを教訓に、防災情報システムを構築し、防災担当者などが市内の雨量・水位など観測データの情報をリアルタイムで把握できるようにしました。更に、市内の雨量・水位観測データはインターネットや携帯電話メールで広く市民に公開するようなシステムを整備しました。この防災情報提供サービスは市内の雨量や河川水位が基準値を超えた場合などは、防災情報メールで通知する機能もあり、現在、約1700名の市民が登録し利用しています。日本気象協会では企画からシステム構築・運用まで、市の防災業務をバックアップしています。
こうした教訓を生かして、携帯電話を活用した防災情報メールで通知した結果、今回の福岡市の災害は死者が出ませんでした。福岡市ではこのようなシステムを配備し、災害情報や職員通知などの災害発生時の迅速な初動体制の確立により、防災情報システムの整備を図り、行政情報受信ツールとして利活用しています。
防災情報コンテンツと携帯電話機能の充実
携帯電話による防災情報提供サービスの導入のメリットは、
- 必要とする緊急情報をいつでもどこでもいちはやく通知することができます。
また、緊急情報を一度に早く同時に伝えることが出来ます(迅速化) - 通知連絡のシステムにより誰が情報を受けたかどうか速やかに把握できます(確実性)
- 防災情報メールはパケット通信であり、電話よりも安く経済的です。
また、連絡にかかわる人件費など軽減することができます(経済性)
情報コンテンツとしてはお客様ごとに個別の情報参照サイトを用意できます。
例えば
- 画像情報としては台風進路情報、天気図、衛星情報、レーダ-、アメダス(実況値・積算値)など
- 文字情報は天気予報、気象情報・火山情報など
- メッシュ情報(降水実況、1-3時間先の雨予測)など
- お客様の持っている観測データや広報情報、ニュースなどの情報を日本気象協会マイコスにオンラインで送信できれば、地域ごとの情報として「住人向け情報」「防災担当者向け情報」として提供可能です。
今後の展開
携帯電話を利用して地域の防災情報をメールで受信でき 、パソコンでしか利用できなかった画像情報などもどこでも参照することができます。マルチメディア社会における、新たなメディアの役割を初めて評価するものとなることから、今後はコンテンツやシステムの充実を更に図り、情報を防災関係者の立場に立って、より早く、確実に提供することを心掛けることを検討しています。将来の防災情報の防災情報の活用の利便性はさらに向上し、災害の防止・軽減に貢献できると期待しています。
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