2007年7月30日 (月)

気象ビジネスの現状と期待

はじめに

 地球規模の気象異変が続いている西日本の高級魚・サワラの水揚げが東北の海で急増している。この100年で日本海の海水温が1.6度上がった。地球温暖化の影響が漁場の変化に現れてきた。
 世界的に都市化や工業化が進んで異常気象被害は経済被害となって、その被害額は膨らんでいるのが目立ち、気象は大きなビジネスリスクとなってきた。気象情報を経営戦略にどう取り込むかが、特に流通業界の経営者に問われている。 より高度な気象サービスを実現するため、1995年には気象業務法が一部改正された。 局地予報(ポイント予報)が民間に開放されることになった。予報士制度も発足し、現在は6400人近くが試験に合格し、民間の予報許可事業者の数も、大小あわせて合計58社にのぼった。気象情報提供ビジネス分野の市場規模は300億円を超えると推定される。
気象事業者の収入は気象情報が高度化し、それを伝える通信網がインターネット化するとともに、潜在需要が一気に出始めた感じである。

1、気象ビジネスの出発点

 現在拡大している気象ビジネスの最大の特徴は、気象庁の公表している予報資料を土台にし、目的に合わせて独自の予報を加え、カスタマイズしていることだ。これまでのように予報資料から必要な情報を抽出して伝達し、適切な解説をするところから大きく踏み出した。
 これまでは防災が主な目的だったが、50年代になって、気象庁の公表する天気予報などを報道機関に伝達・解説する役割を、部分的に公益法人である日本気象協会がおこなうようになった。多様化する民間へのサービスを、国が行なうことに限界があり、この時始めて気象情報が有料化した。これが気象ビジネスの出発点だった。
折しも、テレビ全盛時代が到来し、定番となった天気予報番組で多くの気象解説者が活躍、単なる伝達役から解説役・キャスターへとサービスの内容も向上していった。現在でも気象ビジネスの一つの柱である。
 これまでの市場は防災と事業効率の向上を目的にするものが多かった。例えば海上工事関係者には、安全を確保するため工事区域の強風や高波の詳細な予報が必要で、個別に詳細な気象情報を伝達するサービスも行われるようになった。さらに、気象庁の予報許可を受けて、特定者向けの未公開情報を提供するサービスも数多く始まっている。

2、デジタル予報の頭脳「コンピュータシステムとは」

 テレビの天気予報に登場するお天気キャスターの多くは日本気象協会の職員でしたが、最近は各支社が応募した気象予報士をもつ看板キャスターが各放送局に存在している。顔を出さないで声だけで仕事をするラジオの担当者もいる。あるいは声と顔も出さないで新聞の天気予報欄に原稿を書いているスタッフもいる。身じかにあるこれまでの解説予報を「アナログ的出力」と呼ぶことにするならば。
 コンピューターシステムで出来た「デジタル的出力」は、いま圧倒的パーワを発揮している。コンピューターの導入によってデジタル化されてきた気象情報は膨大なソフトと技術で解析、編集、商品化され、可能な限りリアルタイムで配信されている。
 「東京杉並区の48時間先、1時間ごとの天気や防災情報が知りたい」というように、より詳細な気象情報を求めるユーザに対しては、別途コンサルタント業務としてその地域のポイント予報による防災サービスをも行なっている。
 天気予報や気象情報がパソコンで自由自在に取捨選択できる時代であり、日本気象協会はそのディジタル化を37年前の1970年後半から行なっている。
 デジタル化の頭脳部がコンピュータシステムだ。このコンピュータシステムの最初の仕事は気象庁から送り出されてくる膨大な数値・画像データーを24時間漏れなく受け取ることで、社会に出る膨大な情報の通り道に設けられた関所として機能している。
 このコンピュータシステムの基本的な任務は気象庁の受信された情報を瞬時的に編集加工して送り出す即時配信システムでもある。扱うデータ量と速度を武器に情報通信社の役目と天気情報を武器とするコンサルタント会社の役目をもっている。

3、気象情報提供はインターネットや携帯電話まで

 コンピューターシステムは数値予報データを気象庁から順次受ける他 アメダス・レーダー等や気象会社独自の数値予報計算システムからの出力結果(予報)や雷検知センサー・各気象観測データがある。またユーザが観測している気象・雷検知・波浪データや外国から購入しているアメリカ・ヨーロッパなどの静止衛星画像・世界の気象データーなど個別に受信して、データを編集・加工し商品化(プロダクト)している。
 コンピューターシステムは、官公庁、報道機関、民間企業などのユーザに商品化された紫外線情報・熱中症予防情報・夏山気象予報などのデータや気象衛星画像や気象レーダー映像を配信されている。
 配信されている情報はいくつかの方法で圧縮しパソコンでも問題なく受け取れるようになっている。また、最近はインターネットや携帯電話による配信も行なっている。
 情報量はあまりにも大きいのですべてをユーザのパソコンに送るわけにはいかない。
 量的に受け取れても、定型的な処理をいちいちパソコン上でやる必要はなく、なによりも大事なのはユーザが簡単に自分の必要情報を得られるように情報の切り分け、適切なラベルづけをおこなっている。府県別にまとめる地域抽出や雨だけに絞って順位を求めるテーマ抽出など、適材適所の編集処理を行うシステムである。
 ユーザも的確な判断のために情報がほしいので、煩雑な情報を送り込まれてはかえって困る。加工せずに右から左へそのまま出す例は、地震・津波・気象警報・注意報の非常報と言われるデータである。観測網の整備で震源の位置情報や津波が発生するか即座にわかる緊急地震速報も配信している。情報を受け取った人が自分で判断し対処出来ることが大事である。津波の可能性があれば1秒を争うものになるので、データをストレートに配信して、早く確実に知らせる事が重要な役目である。
 情報を受け取る端末が、最近はパソコンや携帯電話で可能である。現在のユーザは、まず防災情報を受け取っている地方自治体・電力・運輸機関等がある。
 情報はスタンダードメニューから始まるが、ユーザそれぞれの防災課題に対応したプログラムを組んでいる。雨が怖いところ、風に弱く・波高に弱いところ、雪や凍結を警戒する場合もある。防災情報を受け取る事は非常時の危機管理だが、日常業務の労働軽減や経費削減にもつながる。
 緊急時にだけ担当者に携帯電話で職員を召集すれば、それ以外の時には担当者は現場を離れていることが出来る。気象情報受信端末導入で無駄な宿直を無くし,経済効果は大きい。
 農業はカスタムバージョンの気象情報が特に有効である。他の気象情報に重ねて、自分に必要な条件の情報を得たいからである。農業の場合1キロメッシュ位までの地域を狭めて精度を上げた要素別の予報により農薬散布や生育予測に活用する情報が欲しい。
 このようにして、新聞・テレビよりも、177の天気予報よりもはるかに具体的な個別の気象情報が、極端にいえば、ひとり、ひとりが違った天気予報を求めることさえ可能な時代の到来である。気象情報のディジタル化はインターネットや携帯電話等のマルチメディアにより更に拡大化が始まっている。

4、気象ビジネスの利用効果

事業効率の向上の例だと船会社がある。遠洋航海で風や波の穏やかな航路をとれば、日数や燃料など多大な経費節減につながる。
電力会社にとっても、効率的な発電体制を整えるために、気温の予想が欠かせない。電力消費量は気温によって変動する。例えば東京電力では、夏期の日平均気温が1度上昇すれば、最大電力需要が原発の発電量の1.5基分(140KW)も必要といわれている。
 このように世間には従来から様々な気象ニーズがあり、建設・道路・航空・農業など幅広い領域で、種々の気象情報が生かされてきた。それがこれらの分野でも、最近の技術革新と規制緩和を受けて、新しい利用価値が生まれている。一段と詳しく提供できるようになった雷情報の利用は、電力会社や電力の大口需要家である大規模な工場で利用している。
ただし、現状では利用効果が判断できないために、気象情報を戦略的に、またリスクを少なくするために利用することをためらっている場合がある。このため、気象ビジネスの定着と発展には、利用価値をより客観的に評価する必要がある。気象ビジネスは、情報関連のハイテク利用産業であり、しかも環境保全に関連する事業でもあることから、発展性があるとみられている。アメリカではすでに1千億円規模に成長しており、日本市場は、まだアメリカほど社会が成熟していないので、さらなる拡大が期待されている。             

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2007年7月19日 (木)

気候にみる住み良い所(その2)

数字でみる日本での住み良い所

私達の住んでいる所の気候に対する生活の過ごしやすさは気候区分だけではわからない。その土地の一年を通じての気候を知るために、各気象要素を組み合わせ、その土地の気候を総合的に表現する数値を「気候指数」と言う。気象庁で統計をとった「日本の気候表」から得られる以下の9要素

  1. 日照
  2. 冬日
  3. 真夏日日数
  4. 積雪10cm以上日数
  5. 暴風日数
  6. 30mm以上の雨日数
  7. 年降水量
  8. 平均湿度
  9. 気温

これらを使い、一番重要なものから係数を乗じ、これを加えたものが気候上での住み良さを等級づける指数を気候指数と言う。この指数はニュージーランドのある博士が考え出したものである。指数が小さいほど良地されている。

日本で一番住みやすい所(気象観測の地点)の気候指数の順番は浜松(183)潮の岬(206)や瀬戸内海沿岸地方であり、最も住みにくいのは北海道北部の500以上、続いて400以上が山陰、北陸から北の日本海側で冬の低温と多雪のためである。

長野県内は松本(277)、飯田(305)、諏訪(325)、長野(358)となっており、全国的に見て300前後であれば住みやすい所で、気候指数の上では長野県北部を除いて住みやすい所と言える。

また、気候を支配する根本的な要素は太陽から放射されるエネルギーで、これによって気候要素の値が決まってくる。太陽から来る熱を知る量は日射量であるが、観測データーは少ない。そこで日照時間を使って長野県内の四季別の平均値を見ると、夏至が14時間2分、冬至が9時間29分で、その差は5時間に近い。しかし、日照時間は何と言っても天候に左右され、冬の長野では曇や雪の日が多いため417時間で松本や飯田より100時間以上も少なく、また、木曽の山間部では長野より多少上回っている程度で比較的少ない。夏は各地とも600時間程度であるが、避暑地である軽井沢では482時間と他の地点より100-150時間少なくなっている。年間を通してみると、トップが松本・飯田2300時間、諏訪の2200時間、軽井沢・木曽は2000時間で松本・飯田より300時間も少ない。

以上のことから日本は世界的にみて、最も季節変化に富んだ温和な気候に恵まれており、長野県も全国的にみて、住み良い所が多い。県内でも北部より,中部・南部の方が日照時間も長く、気候的に恵まれている。最近は冷暖房も発達して人工気象が多く。寒さ暑さも直接的関係なく生活できる環境もそろってきた。

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2007年7月18日 (水)

気候にみる住み良い所(その1)

1)世界・日本・信州の気候

 人間は気候風土に順応しているように思われが、この地球には色々な気候がある。人間の思考や感情、生活様式などは、その土地土地の気候に大きく左右され、むしろ気候によって自然に変えさせられていて、動物・植物においても気候そのものに左右されている。

 世界の気候を大きな目で見ると植生に基づき五気候区に分けることができる。
日本は温帯気候に属し、温帯気候を更に三つに分けることができる。

気候説明分布地域
温帯夏雨気候 夏に降水が片寄り、冬は乾燥 中国/メキシコ
温帯冬雨気候 降水が冬に多く、夏は高温の上に雨が少なく乾季となる 地中海沿岸
温帯多雨気候 年間を通し降水が季節的変化があっても割合顕著でない 日本は北海道を除く地方

 この中には、中国揚子江下流域、西ヨーロッパ、アメリカの大半、南半球はオーストリア南東部で、世界の高文明地域はほとんどこの気候帯に入る。日本は北緯45度から24度にまたがった温帯気候の多雨気候地帯に属し、春夏秋冬と四季のコントラストが強く、大陸に比較すると海の影響を受けるため、気候は温和で、最も住み良い国の一つと言える。また、日本は大陸から見ると小さな国であるが、北は酷寒な北海道から夏は常暑沖縄までの細長い国土で、山脈が国土の中央を走り、西は日本海、東は広い太平洋に面した非常に複雑な地形である。その気候は大きく分けて、表日本式(太平洋側の一帯で、特に関東から西の地方は温暖)と裏日本式(日本海の地方で北日本中心に豪雪地帯)の二つの型に分かれ、この二つの気候の差は冬に大きく、夏に小さいと言える。

 信州長野県内の気候は海こそないが「日本の屋根」と呼ばれる高い山々があり、南北に長いため、北部は日本海、南部は太平洋側の影響を受けており、二つの気候の特徴が北部と南部を中心にそれぞれ代表的に出現している。

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2007年7月 7日 (土)

光化学スモックの現状(その4)

拡散する光化学スモック

ところで、光化学と言うのは太陽から放出される光のエネルギーによって起こる光化学反応を言い、空気中に光を吸収散乱する物質が少ない夏山とか海において、紫外線がかなり強いために、日焼けという科学反応が起こる現象もその一つである。
今までにロスアンゼルスや東京で調査・研究された光化学スモックについての概要ををまとめてみた。

  1. 空気中の窒素酸化物(NOx)炭化水素(HC)と酸素(O2)の混合気体に太陽の紫外線が照射されて、大気中で科学反応が行われ、二次的に生成された物質によって大気が汚染される現象である。前述のように自動車排気ガスが光化学スモックの一因であるのは、汚染大気中の窒素酸化物によれば、その60%が自動車排気ガスによると言われている。
  2. その光化学反応によって生成される二次汚染物質オキシダント(Ox)としての主なものはオゾン(O2)や二酸化炭素などがある。
  3. 光化学スモックのインデックスとしてオキシダントの成分の内85~90%がオゾンである。オゾンは自然の状態で存在するが、清浄地域では0.01~0.15ppm程度認められている。しかし、現在の都市では天然のオゾンは存在しない。光化学反応によって生成されるオキシダントは午前11時から午後3時頃がピークを示す場合が多い。場所によっては午後4時から6時頃がピークの濃度を示す。
  4. 光化学スモックの人体への影響としては目に対する刺激があげられるが、ロスアンゼルスであはオキシダント濃度が0.1ppmに達すると、大半の人が目への刺激を訴えており、このほかに一般的な症状としては咳や胸の不愉快、頭痛などが上げられる。
  5. ロスアンゼルスや東京では大気の安定度や風の気象因子がオキシダント濃度に大きな影響を与えている。例えば、通常、気温は高度が増すとともに低下するが、逆に高度が増すとある一定まで温度が上昇する気温逆転現象の時が高濃度が出現しやすいと言う傾向ある。

以上のように「東京型スモックに関する調査研究」は1974年に当時の東京都公害研究所がまとめられた。

 日本の観測点のオキシダント濃度における1時間平均値0.15ppm以上になり、気象条件から汚染が続くと判断される場合、その地方に光化学スモック注意報が発令される。それがはじめて発令された1970年は東京都で7回だけであったが、1973年は21都道府県で328回も発令されている。しかし、1973年をピークに漸減し、1976年からは160回台に減り横ばい状態になっている。また、以前は東京都中心から最近は東京周辺圏や大阪方面に移り、東京都を上回る注意報が発令された。
月別の光化学スモック発令状況を見ると3月から8月が多くそのうち光化学スモックシーズンはとりわけ5月から8月が目立って多くなっている。

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2007年7月 6日 (金)

光化学スモックの現状(その3)

日本の光化学スモック汚染を見る

 日本での光化学汚染のとして取り上げられたのは、1960年代の前半で、石炭から石油系の燃料に変わった経済成長期にロンドン型スモックに近似した大気汚染が工業地帯で発生した。例えば、三重県の四日市市では、死者が出て,公害裁判で企業側の責任が追求されたのであるが、その頃が日本における大気汚染の始まりである。また、ショッキングな事件として社会的な関心を集めたのは1970年7月18日、東京都杉並区立正高校の生徒が運動中に、目がチカチカしたり、呼吸が困難で痙攣を起すという人体被害の発生であったが、これが日本におけるロスアンゼルス型スモックの始まりであった.。更にこの光化学スモックは1972年頃から景気の上昇に伴い、自動車台数の急増と大規模工場の影響で東京湾・伊勢湾・大阪湾などの太平洋側沿岸工業都市はもちろん、四国や倉敷の地方都市にも及ぶ広範囲に発生するようになった。.その為、当時の環境庁(現在の環境省)や各地方自治体では公害関連の測定機器を整備し監視するようになり、各県の公害研究所が中心となり、その地域の実態と要因物質や発生条件調査・研究が進められ、その究明の努力が現在も続いている。

光化学スモックとは

 新しい環境汚染「光化学スモック」の歴史をたどって見ると、スモックについては明確ではないが、1909年イギリスで、煤煙(smoke)と霧(fog)が原因で1千万余名の犠牲者が出た時に、その合成語として光化学スモック(Photochemicalr Smog)は1943年頃ロスアンゼルスで起きる視程障害現象を、報道関係者がこのように言い出してから広く用いられるようになった。

 スモックは前述のように、ロンドン型とロスアンゼルス型の2種類の視程障害現象があるとされているが、日本で言われているスモックは東京がロスアンゼルス型に近似し、ロンドンは四日市市などの工業地帯に発生する有害スモックに近いと言える。気象の専門家は視界2Km以下は煙霧・モヤなどで、雨や霧を除く視程障害現象をスモックと呼んでいる。この光化学スモックによる大気汚染の被害がロスアンゼルス盆地に出始めたのは1940年であり、その後1951年頃から本格的に調査が行われている。日本においても1972年ごろから東京都を中心に各都市でもその実態と気象条件の調査,研究が進められ、多くの事実が学会で発表されている。しかし、その全容についてはまだ明確に知られていないのである。

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2007年7月 5日 (木)

光化学スモックの実態(その2)

大気汚染殺人事件の犯人説

ロンドン型スモックの場合

1952年12月5日から8日までの4日間、冬のロンドン市では各工場から排出される石炭の不完全燃焼によるガスが大気中に立ち込めてしまった。その時のロンドンは特有の濃霧に包まれて、大気は媒煙と霧の混合したスモックと呼ばれる現象にすぽっり覆われ、無風の状態の日が続いた。したがって、ロンドン市民は有害ガスを含んだ空気を吸ったために呼吸が困難になり、老人や病人のような健康でない人はその犠牲になり、直接・間接的に約四千人にのぼる死亡者を出した記録が残っている。
これがスモック公害の始まりで、ロンドン型スモックは湿っぽい空気とその中に排出される媒煙とによって起こる公害と呼ばれた。

ロサンゼルス型スモックの場合

世界で最も有名なスモックの街はアメリカ西海岸にあるロサンゼルス市であったが、最近は中国などの発展途上国が目立ち始めた。ここは数多くの煙突が立並んでいるが、それ以外に自動車による排気ガス等も含め、燃料の不完全燃焼によってつくりだされた科学物質が原因となっている。このロスアンゼルスでは、その盆地地形と太平洋側からの海流によって生じる気温の逆転現象にあずかり、スモックを発生させている。これに伴う被害はロンドン型スモックのような有毒性はないが、目をチカチカさせ、自動車の運転にも支障を及ぼすこともある。また、農作物や植物は最も早く被害を受けやすいのである。
このような例はアメリカやヨーロッパをはじめとして数多くの都市で聞かれた。中でもアメリカペンシルバニア州ドノラ(ピッツバーグ市近く)やベルギーのミューゼ峡谷などは谷間や盆地地形ににある工業都市の場合は気温逆転現象と弱風が長時間続けば大気汚染による病気で数十人が死亡する災害があった。例えば、数日間の自然現象のイタズラと工場や自動車あるいは一般家庭から排出される石油・石炭の不完全燃焼されたガスが大気汚染による殺人事件を起こすこともある。
特に、中国やインドの工場は煤煙対策をしていない工業都市が多く、盆地地形で自動車が次第に増加してくると、徐々に人間の健康を害して広がりつつある。発展途上国が近くにあると隣接国にも被害が広りつつあるので、地球規模で対策を行わないと・・・考えさせられるものがある。

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2007年6月21日 (木)

光化学スモックの実態(その1)

光化学スモックで内陸盆地があぶない

工場の煙突から排出される煤煙は産業が栄えている印であり、景気が悪くなると、この量も減少されると言われている。近年は大規模工場が建設され、その燃料も石油系に変わり、排ガス量は膨大なものになっている。更に、九州地方などは中国からの輸送されてくるもらい公害的なところもあり、解明が急がれている。

今年度は猛暑の日が多くなると長期予報されており、光化学スモック注意報の発令日が、既に例年を上回っている。車の燃費が少なくなっていますが、車の数や一般家庭での多くの石油系燃料が使用されるようになって、これらを合わせた燃料から排出された多量の排ガスが大気汚染を引き起こしている。

この大気汚染は地球的規模で広がっていることが、次第に明らかになるに連れ、近年の異常気象・温暖化としての気候変動を誘発していると言う説もあり、注目されている。
大気汚染の問題は色々な形で論議を呼んでいるいるが、環境庁をはじめとする公害行政の現状を見ると当面の対応策が中心で、将来的、長期的に展望してみる余裕がないようある。とりわけ、公害問題が少ない信州は他地域に比べて空気がきれいで、空気を汚さない工場が多いと言うものの、その取り組みは遅れており、大気関連の調査研究はごく一部でされているに過ぎない。

ところが、気象要素などを組み合わせ、気候的に見た大気汚染の危険度を調べた結果から、内陸盆地は他地域の2倍以上の危険度を持つと指摘されている。現状を見て、環境基準を超える可能性のある汚染は光化学スモックであり、この夏はラニーニョ現象で、高濃度のオキシダントが測定されており、光化学注意報発令が昨年より多くなっている。

そこで、今年度は夏を中心で大気汚染が最も早く起り、多数の被害を出さないよう、各県は適切に注意を喚起する必要がある。

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2006年11月20日 (月)

冬の話題(西高東低と三寒四温)

 信濃路も12月を向かえると初雪の舞も終わり、いよいよ本格的な冬への突入である。冬の信州は冷たい北西の吹き出しと共に雪が降り始め、信越県境地方は一夜にして1メートルを超す大雪となることは珍しくない。一方、中南信地方では乾燥した晴天となり、朝晩の気温は氷点下10度前後まで下がる寒い日が多くなる。しかし、このような気象条件を有効に利用している冬の信州は、冬山、スキー、スケート客で毎年賑わいを見せている。

 さて、12月中旬頃になると中国大陸奥地には冷たい高気圧が発達して、西に高く東に低い、西高東低の冬型の気圧配置が固定してくる。川端康成の「雪国」の一章に「国境の長いトンネルを抜けると雪国あった」とあるように、本州の背稜山脈を境に、太平洋側は冷たい季節風が吹きわたり乾燥した晴天が多くなる。その反面、日本海側の地方は風雪のどんよりした毎日が続くようになる.。冬型の気圧配置が強くなると等圧線の間隔が込み合い、これが3日~4日続くと冬型の気圧配置はゆるんで、等圧線の感覚が広くなると寒さも和らいでくる。このような状態を繰り返されることを「三寒四温」というが、この言葉は中国東北区や朝鮮半島で用いられた言葉である。

 平成17年12月末から1月初めは強い冬型気圧配置が一週間以上続き、信越国境付近は大雪に見舞われ孤立した村もあった。この冬型気圧配置は2月に入ると立春で暦の上では春を向かえるが、信州の寒さはいぜん厳しく、3月中旬頃までは冬型の気圧配置が続くケースが多い。

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2006年9月17日 (日)

女心と秋の空

「天高く馬肥ゆる」秋は、春と同じく年のうちでも,快適に過ごせる気候である。しかし、暖候期から寒候期への変わり目であるため、梅雨と同じく雨季と呼ばれる「秋の長雨」があり、また、台風も来襲するアクシデントにより、梅雨に次ぎ雨の多い季節であり複雑な天気を示す。

9月になると夏の間日本列島を覆っていた太平洋高気圧が衰え、代わって乾いた空気を持つ移動性高気圧に覆われる頻度が多くなる。このため、南風も弱まわって、信州など海抜の高いところは朝晩はめっきり涼しくなり、木や野菜には露が目立つ。それでも9月中旬頃までは時には太平洋高気圧が盛り返し、日中は30度を越す残暑に喘ぐこともある。こんな季節は朝型の冷気で寝冷えを起こし風邪をひく人が多いから注意が必要。

 さて、秋の最も注意すべきは台風である。
台風は熱帯地方に発生する低気圧であり、年間27個くらいが発生し、日本に来襲するのは3から4個が平均とされ、9月が多くなっている。昔から立春から数えて210日目に当たる9月1日、あるいは220日目の9月10日は台風が来襲する頻度が多と恐れられているが、統計上では9月中旬頃が一番来る傾向である。9月下旬に来襲する台風は規模が大きく非常に強いのが多く、大きな被害をもたらすので警戒を要す。例えば、昭和33年9月26日の狩野川台風、また翌年の史上最大の死者約5000人を出した伊勢湾台風がある。大きな災害を起こす台風は210日よりも9月16日から26日頃で、年によっては多少ずれるが、農家にとっては収穫期であり、一応の目安として注意が必要である。

9月も中旬を過ぎると太平洋高気圧の勢力の後退で、つゆ明けの時に日本の北に北上していた前線は再び日本の南岸まで下がってくる。このため9月中旬から10月中旬の約1ヶ月は秋の長雨の時期である。以前は秋霖(しゅうりん)と言っていたが、現在は当用漢字の制限もあり「秋の長雨」に統一されてきた。関東地方は秋雨前線の影響と台風などによる湿った空気が流れこみ、つゆ期よりも雨量が多くなっている。この秋はつゆ期と共に水害の多い時期である。今年は9月上旬の「秋の長雨」も顕著に現れ、9月17日は台風13号(940hpa)非常に大きな台風が九州に接近している。

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2006年6月11日 (日)

人間まで腐る梅雨

年の内でも一番快適な季節から炎暑の夏への変わり目に、日本では梅雨と呼ばれる雨季がある。今日六月十一日は二十四節季の「梅雨」である。

梅雨はもともと中国地方の南部で梅の実がなる頃に降る雨を「梅雨」と言い、東洋特有の現象であり「梅雨に濡れると腹まで腐る」と昔の人は言った。最近は大気中に自動車の排気ガスや清掃工場から排出される煤煙などの影響で硫黄酸化物を含む酸化性の雨(酸性雨)が降り、人間まで腐ると心配される。

梅雨は年によって変動がが大きく、早い年は五月末ごろからの梅雨走りがそのまま本格的な梅雨になり、遅い年は梅雨明けの七月中旬頃に雨が降り出す年もある。この雨季は約1ヶ月続くが、この期間の雨の降り方もさまざまであり、梅雨末期は集中豪雨となって大災害を起こすことがある.。毎年決まって、日本の何処かで規模の大小はあるが、大雨による地すべり・土砂崩れなどが発生している。避難場所のチェックをお忘れなく。

なお、信州に勤務していた時調べた「昭和36年6月梅雨前線豪雨の」時の飯田測候所の雨量データ-は325ミリで確率雨量として見ると約280年に一度の降る大雨あった。

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